2021.01.07 16:04
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2020.12.28 15:03
近年、テクノロジーと医療を融合させたヘルスケア系のスタートアップが盛り上がりを見せている。実際、多数のヘルスケアスタートアップが多額の資金調達に成功しており、その市場規模は2025年には約33兆円にまで拡大すると言われている。今回はそんなヘルスケア領域で活躍が期待されているスタートアップ企業をご紹介していく。
Bicycle Healthは、合成麻薬中毒症をリモートで治療するサービスを提供するヘルスケア系スタートアップだ。米国では合成麻薬は深刻な社会問題であり、Bicycle Healthの統計によれば、9200万人の米国人に合成麻薬中毒のリスクがあり、実際に200万人が合成麻薬中毒であるという。
Bicycle Healthは以前まで物理的な診療所を拠点としていたが、新型コロナウイルスの影響によりリモートでの治療に概ね切り換えた。治療はモバイルアプリを通して提供される他、訪問診療も行われているという。
また、その調達額は約5億6900万円までにものぼり、今後の成長への期待に拍車がかかっている。
Oscar Healthは、医療費が高額になることで知られているアメリカで、新しい医療保険ヘルスケアサービスを提供するスタートアップ企業だ。 様々な企業から13億ドルもの投資を受けているOscar Healthは、2020年末までにヘルスケアサービスの利用者を40万人に増やし、売上は20億ドルを目指すという。
引用元: Oscar Health
Oscar Healthが提供する医療保険は、一貫してスマホ上で完結する。そして、医療保険と一緒に病気の予防手段を提供することで、コストとなる保険金の請求額を抑える。その結果、さらに低価格で良質な保険を提供できるようになる。優れたビジネスモデルと、医療費が問題になっているアメリカの現状がかけ合わさり、今後も成長するサービスになることだろう。
WRAYは、「女性のベストパフォーマンスをサポートする」をミッションに掲げてD2C販売を行う、東京のヘルスケア系スタートアップだ。
WRAYは、月経前症候群(PMS)や周期的な肌荒れを対策するサプリメントなどのプロダクトを提供している。似たような効用を持つものとして低用量ピルがあるが、これは通院や診察コストというハードルを伴う。そんな課題を、WRAYはサブスクリプションモデル、D2Cモデルといった新しい手法で解決している。
引用元: WRAY
2020年4月に設立されたスタートアップ企業だが、2020年7月30日には4500万円の資金調達を実施しており、これからの動向に期待がかかっている。
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アフリカ中部ルワンダ発のヘルスケア系スタートアップZiplineは、ドローンで病院に血液を運ぶサービスを提供している。
血液の輸送は一刻を争うケースもあるが、Ziplineのドローンは最高時速80マイル(128.7km)で飛行することができ、自動車よりも高速に運搬することが可能だ。また、どんな場所にでも着陸がしやすく、陸路と異なり迂回する必要がないといった点も、血液の輸送と非常に相性が良い。
こういった理由から、Ziplineの企業価値は1300億円にものぼると試算されており、いま注目を集めるユニコーン企業となっている。
アメリカのサンフランシスコを拠点とするヘルスケア系スタートアップCarbon Healthは、診察予約から処方箋の配達、カルテ管理までの全てをアプリ上行えるサービスを提供する。
Carbon Healthが目指すゴールは、スターバックスのような手軽かつ信頼性の高い病院を世界中に設置することだという。
引用元: blueprintfuture.com
そんな世界に近づくべく、Carbon Healthは簡易的な新型コロナ検査クリニックの立ち上げを全米100カ所で開始している。クリニックの立ち上げが高速に行わているのは、駐車場の空いたスペースを他の事業拠点として一時利用するサービスのおかげだ。
Carbon Healthは、およそ1億ドル(約105億円)の資金調達を済ませており、サービス拠点を全米に拡大するために利用される。
CureAppは東京に拠点を置くヘルスケアのスタートアップ企業で、ニコチン依存症を対象とした治療用アプリである「CureApp SC」を提供している。
引用元: cureapp.blogspot.com
CureApp SCは、は患者アプリ・医師アプリ・COチェッカーの3つから成り立ち、患者アプリへパーソナライズされたガイダンスが提供されるようになっている。「アプリが病気を治療する効果を持つ」医療サービスはまだ日本では実現されていなかった領域だが、CureApp SCは疾患治療用アプリとして国内初の薬事承認を取得している。
HealXはAIを利用して希少疾患の治療法を探るヘルスケアスタートアップ企業だ。 従来、新薬を市場に送り出すには、膨大なコストや開発期間や失敗リスクを抱え込む必要があったが、HealXはその課題をAIで解決しようとしている。AIを創薬に活用する企業はHealXだけではないが、同業他社と異なっているのは希少疾患に特化している点だ。
世界にはおよそ7000種の希少疾患があり、実際に4億人がその患者であるという。HealXは、そんな巨大な課題を解決する可能性を秘めている。なお、2020年にはCOVID-19向けの治療薬開発にも着手している。
PatientsLikeMeは、治療方法がまだ確立されていない疾患を抱えている人たち向けのSNSだ。ヘルスケアスタートアップの起業が盛んになってきたのは2012年ごろだが、PatientsLikeMeは2004年に設立されており、ヘルスケアのパイオニア的存在でもある。
2017年には中国の企業などから1億円を調達しており、その資金を利用してSNSに蓄積されたデータの活用を進めているという。
Ada Healthは、ロンドンとベルリンに拠点を置くヘルスケア系のスタートアップだ。同社は、AIと医師の専門知識を組みあわせることで、パーソナルな医療ガイドを作成するアプリを提供している。このアプリは、ユーザー個別に質問を投げかけ、その回答を元にして病状の考えられる原因探し出すというものだ。現在のユーザー数は200万を超えており、2017年には4,700万ドルの資金調達に成功している。
また、Ada Healthは独自のナレッジを活かし、COVID-19の症状チェックサービスも提供している。
Humanityは、「老化の速度」を監視することができるアプリを提供するヘルスケアスタートアップだ。当アプリの目的は、老化に関する行動データを取得することで、ユーザーの老化行動を変容させることにある。実際、歩数や心拍数、体重などを記録するデバイスは多数あるものの、「老いを防ぐためにどう行動すればよいか?」を教えてくれるアプリは存在せず、非常にチャレンジングなスタートアップだといえる。
引用元: BusinessCloud
2020年8月21日には250万ドル(約2億6000万円)の資金を調達し、現在はアプリを数百人のユーザーにテストしているところだという。製品版のアプリは、2021年に英国と米国でローンチされる予定だ。
以上、今後活躍が期待されるヘルスケアスタートアップ企業を紹介してきた。COVID-19という最大の難敵がいる中、ヘルスケアの領域はどのように進化していくのか。これからの動きにも着目していきたい。
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