2021.01.07 16:04
- #ドローン
- #ベンチャー企業
2020.12.01 03:03
自動車業界は100年に一度の変革期を迎えている。
その理由が「CASE」だ。
ー「CASE」とは何ですか。
・C (conected) :通信技術でリアルタイムに繋がる
・A (Autonomous) :自動運転
・S (Shared) :シェアリング
・E (Electric) :電動化
IT革命によって、小売業界の在り方を変えたAmazonと「CASE」の相性の良さは明白だ。
昨今、話題となった無人コンビニ『Amazon Go』におけるレジ無人化システムは、自動運転と共通の技術を多数利用している。 「CASE」における「E:電動化」によって、自動車分野への参入障壁は一気に取り払われた。
ガソリン駆動の自動車は、一台当たり約10万点のパーツから構成されている。これに対し、モーターで駆動する電気自動車は、1/10にあたる約1万点のパーツしか使わない。
エンジンやミッションといった、既存の技術を持たなくとも、新技術のみでビジネスの土俵に立つ事が可能になったのだ。
出典:IoT NEWS
ー自動運転による物流強化。
「Last one mile」という言葉をご存じだろうか。
直訳すると「最後の1マイル」、すなわち「物流・配送拠点から顧客へ配送するまで」という意味を持つ。モノの流れの最終段階を表す言葉だ。
ECのみで売上伸ばし、実店舗を持たなかったAmazonにとって、小売販売網は大きな脅威となっている。ウォルマートといった小売店の近隣配送が、猛烈な勢いで拡大しているからだ。
2019年9月より、ウォルマートは年98ドル(日本円で約1万円)の定額制で、追加料金なしで何度でも商品を自宅まで配送するデリバリーサービスを開始した。
冷蔵庫などの大型家電でも自宅まで届けてくれるという、プラスワンの価値を提供したことに対する反響は大きい。
物流網の効率化は、今や小売において競争力を左右するカギになる。自動運転技術への積極投資で「Last one mile」を効率化し、ライバルに打ち勝つこと。これが、Amazonが自動運転業界へ参入した目的である。
Scoutとは、AmazonがUS市場で、近隣配送向けに開発された自動配送ロボットである。
Scoutは、歩道を走行できるように作られた6輪車両型のロボットで、サイズは大きめのクーラーボックスほどだ。障害物センサー等を搭載し、人間の歩行スピード以下で走行する。
顧客が玄関から出てくるとキャビンが開き、商品の受け渡しを行う仕組みだ。
同社は、2019年より米シアトルAmazon本社近くで、実証実験を開始している。
現在は、「スカウトアンバサダー」と呼ばれる監視役と共に配達を行っているが、2020年7月下旬より、対象地域をジョージア州アトランタ、テネシー州フランクリンにも拡大した。
基本的には、歩行者の少ない環境下での利用が想定されており、都市部などの人口密集地域では、まだ課題も多い。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、対面接触を避けることが求められるようになった現代において、ロボットでの配送は、感染防止に有効な手段となりうる。
この奇妙なロボットが走行する光景は、「Last one mile」の効率化だけにとどまらず、格好の宣伝媒体としての役割も果たすだろう。
Zoox社は、シリコンバレーに本社を構える自動運転のスタートアップ企業で、自動運転タクシー開発・研究を行っている。
同社が開発中の自動運転車は、4WS(四輪操舵)システムを搭載し、双方向の運転が可能だ。この車にハンドルやペダルはなく、乗客輸送に特化した設計となっている。
出典:livedoor.com
Amazonは2020年6月26日にZoox社の買収を発表。買収額は推定13億ドル(1360億円程度)と報じられている。Amazonが1000億円以上の買収を行うのは、今までZooxを含め4社のみである。
Amazonの狙いはタクシー事業ではない。自動運転タクシー技術を用いた「Last One Mile」の効率化による物流網の構築だ。
Zooxは、カリフォルニア州での自動運転公道走行テストの走行距離順位で、6位に位置する企業である。(1位はgoogle傘下のウェイモ)。トヨタが同テストの走行距離順位25位であることからも、その技術力の高さがうかがえる。 Zooxの従業員は1000人規模。Amazonはこの買収により、自動運転のノウハウを有した人材を一気に獲得した形となる。
Zooxは、既に完全自動運転車のテスト走行許可をカリフォルニア州とネバダ州で取得しており、1年以内に商用運用テストを開始できる見通しだ。
出典:Amazon News
実はAmazon、もうすでに自動車作りにも取り組んでいる。
2019年、Amazonは、米ミシガン州のスタートアップ企業、Rivian社に対して、配送車両としてEVバンを10万台発注している。 2020年10月に初めて納品され、21年より顧客への配送用として利用される予定だ。
最先端のセンサーや運転支援システムを搭載した車両で、配達員のためにボイスアシスタントシステムAlexaも有している。将来的には自動運転の要となりうる存在と言えるだろう。
Amazonは、2022年には世界で1万台、2030年までに10万台の導入を予定しており、物流強化に加えて、「CASE」の先駆けとなることは間違いない。
Amazonのロゴをつけた車を町中で見かけるようになる日は、もしかしたらそう遠くないのかもしれない。